スパンモデルは勝てない?一目均衡表との違いや見方、作り方を徹底解説!

スパンモデルとは、一目均衡表をベースにシンプル化して作られた順張りに特化したインジケーターです。

「スパンモデルの基本的な見方やトレードで使えるのかが知りたい。」

「一目均衡表よりもスパンモデルを使った方がいいのか。」

「スパンモデル」と聞くと上記のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?

結論として、スパンモデルは一目均衡表よりも見た目がシンプルでありながら、相場を複合的に分析でき、かつ視覚的にも分かりやすいのが特徴です。

一部スパンモデルでは勝てないと噂されることもありますが、そのようなことはありません。

この記事では、スパンモデルについて、見方・使い方や一目均衡表との違い、実際のトレードでの使い方などを、以下9つの項目で詳しく解説していきます。

  • スパンモデルとは
  • スパンモデルの見方や使い方
  • スパンモデルと一目均衡表の違い
  • スパンモデルではトレードで勝てないのか?
  • スパンモデルの作り方や設定方法
  • スパンモデルを使ったトレード手法
  • スパンモデルと相性がいいスーパーボリンジャーとは
  • スパンモデルを使ってFintokeiに挑戦する
  • まとめ

スパンモデルとは

スパンモデルとは、元ディーラーの柾木利彦氏(通称マーフィー)が考案したテクニカル指標であり、一目均衡表をベースにシンプル化して作られています。

スパンモデルは、以下3つのラインで構成されています。

  • 青色スパン:短期トレンドのシグナル
  • 赤色スパン:長期トレンドのシグナル
  • 遅行スパン:トレンド転換(または中期トレンド)のシグナル

以下の画像は、ドル円のチャートにスパンモデルを表示したものです。文字通り赤色の線が赤色スパン、青色が青色スパンを示しており、ピンク色は遅行線です。

赤色スパンの向きや、青色スパン・遅行スパンとローソク足の位置関係を確認して、順張りや逆張りといったトレード判断を視覚的に行えるのがスパンモデルの特徴です。

また、青色スパンと赤色スパンの間にある一目均衡表でいう雲のような部分を「ゾーン」と呼びます。

ゾーンは、一目均衡表の雲と同じようにサポートゾーンやレジスタンスゾーンとして機能します。

それぞれの構成要素の詳しい使い方については、後で詳しく解説します。

スパンモデルの各要素の計算式

スパンモデルの各要素の計算式は以下のとおりです。

  • 青色スパンの計算式:{(直近9本分のローソク足の高値+安値)+(直近26本分ローソク足の高値+安値)}÷2
  • 赤色スパンの計算式:(直近52本分のローソク足の高値+安値)÷2
  • 遅行スパンの計算式:最後のローソク足26本前へ表示

青色スパンは他のスパンに比べて短い期間内で計算するため、直近の価格状況を反映しやすく短期的な相場分析に適しています。

一方、赤色スパンは他のスパンに比べて比較的長い52本のローソク足で計算するので中長期的な相場分析に向いています。

遅行スパンでは最後のローソク足の終値を26本前へ表示されており、過去の相場価格と現在の相場価格を比較できるのです。

スパンモデルの見方や使い方

スパンモデルは順張りに利用することが基本です。

スパンモデルを順張りで活用することを念頭に置いたうえで、スパンモデルの使い方や見方について、以下の5つを見ていきましょう。

  • 青色スパンと赤色スパンの見方と使い方
  • 遅行スパンの見方と使い方
  • ゾーンの基本的な見方と使い方
  • ゾーンの厚さはトレンドの強さを表す
  • ゾーンのねじれはトレンド転換を表す

青色スパンと赤色スパンの見方と使い方

青色スパンはローソク足との位置関係で、以下のように短期トレンドの勢いを判断できます。

  • ローソク足の終値が青色スパンより上:買い側が優勢
  • ローソク足の終値が青色スパンより下:売り側が優勢

一方、赤色スパンは以下のように向きを見て中長期のトレンド方向を判断します。

  • 赤色スパンが上向き:中長期が上昇トレンド
  • 赤色スパンが下向き:中長期が下落トレンド

遅行スパンの見方と使い方

遅行スパンとは、最後に確定したローソク足の終値から26本前に表示したラインなので、約1ヵ月前の価格と現在価格を見比べることができます。

遅行スパンの基本的な見方は以下の通りです。

  • 遅行スパンがローソク足より上に位置する:買いポジションが優位
  • 遅行スパンがローソク足より下に位置する:売りポジションが優位
  • 遅行スパンとローソク足が頻繁に交差する:レンジ相場の可能性が高い

遅行スパンがローソク足よりも上にあるということは、26期間前に買いポジションを保有したトレーダーは含み益であるということになります。

したがって、買いポジションが優位だと判断できるのです。

基本的な仕組みは一目均衡表の遅行線と同じです。一目均衡表の遅行線については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

一目均衡表の遅行線とは?本質的な意味や見方、実際のトレードにおける使い方を解説!

ゾーンの基本的な見方と使い方

スパンモデルのゾーンは、以下の2つの方法で活用できます。

  • 下降トレンドで出現するゾーン:価格の抵抗体になる(赤色ゾーン)
  • 上昇トレンドで出現するゾーン:価格のサポートになる(青色ゾーン)

スパンモデルのゾーンには、下降トレンド発生時に出現するゾーン①(赤色スパンが青色スパンより上)と、上昇トレンドで出現するゾーン②(青色スパンが赤色スパンより上)の2種類があります。

それぞれのゾーンはサポートやレジスタンスとして機能し、トレンドが続く限り相場価格はゾーンで反発したり、抑えつけられたりします。

基本的な仕組みは一目均衡表の雲と同じです。一目均衡表の雲については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

一目均衡表の雲とは?ねじれの見方やテクニカル分析での使い方を解説!

ゾーンの厚さはトレンドの強さを表す

ゾーンは分厚いほどトレンドが強いことを表しています。

例えば下降トレンド発生時に出現するゾーンは分厚いほど下降トレンドの勢いが強く、売りの順張りが最適な状況となります。

一方、上昇トレンドで出現するゾーンは分厚いほど上昇トレンドの勢いが強く、順張りの買いポジションが最適だと判断できます。

ゾーンの厚みがトレンドの強さを表していることから、薄いとトレンドが弱かったりレンジ相場だったりと判断できるため、順張りを見送ることもできるのです。

ゾーンのねじれはトレンド転換を表す

ゾーンの色が切り替わる箇所を「ゾーンのねじれ」と呼び、ねじれはトレンド転換を表します。

ねじれの具体的な見方は以下の通りです。

  • 赤色から青色のゾーンに変化:買いトレンドへの転換
  • 青色から赤色のゾーンに変化:売りトレンドへの転換

スパンモデルと一目均衡表の違い

スパンモデルは一目均衡表を元に作成したインジケーターなので、見た目は非常に似ています。しかし、スパンモデルと一目均衡表には違いも多いのです。

スパンモデルと一目均衡表の違いについて、以下の表でまとめました。

比較項目スパンモデル一目均衡表
構成要素3種類5種類
重視する時間軸リアルタイム今後の値動き
ゾーン(雲)の位置現在価格の直近のローソク足の位置直近のローソク足含めて26本先行した位置

スパンモデルの方が構成要素がシンプル

スパンモデルは一目均衡表に比べて構成要素がシンプルです。

スパンモデルの構成要素は3種類、対して一目均衡表の構成要素は5種類あります。

スパンモデル一目均衡表
青色スパン、赤色スパン、遅行スパン基準線、転換線、先行スパン1、先行スパン2、遅行スパン

細かい相場分析には構成要素が多いほうが精度が高いように思えますが、トレード画面がごちゃごちゃする原因にもなります。

また構成要素が増えるにつれて相場を分析するための時間もかかり、スピードが求められるトレード手法では扱いづらいといえます。

一方、スパンモデルの構成要素はシンプルだからこそ相場分析に必要となる着目点が少ないので、速やかにエントリーの判断がしやすいメリットがあります。

スパンモデルはリアルタイムの値動きの分析に特化している

スパンモデルは一目均衡表に比べてリアルタイムの値動きの分析に特化しています。

一目均衡表の先行スパンが何を表しているかを確認すれば、その違いは分かりやすいです。一目均衡表の先行スパンの詳細は以下の通りです。

  • 先行スパン1:(基準線+転換線)÷2を26本分先行させたもの
  • 先行スパン2:(52本分の最高値+52本分の最安値)÷2を26本分先行させたもの

上記のとおり、一目均衡表の先行スパンは計算結果を将来にスライドして描画しています。一方で、スパンモデルの各スパンの計算式はあくまで現在価格までの描画しか行いません。

ローソク足26本分の予測はリアルタイムの値動きとは程遠いことからも、リアルタイムまでの計算しかしないスパンモデルのほうが直後の値動きは予測しやすいのです。

一目均衡表の先行スパンについては、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

一目均衡表の先行スパンとは?先行表示する理由や雲の見方、トレードでの使い方を解説!

スパンモデルではトレードで勝てないのか?

スパンモデルは一目均衡表に比べて構成要素が少なく、トレードで勝てないと噂されることも多々あります。

しかし決して、スパンモデルの構成要素が少ないからといって勝てないことはありません。

スパンモデルを使ってトレードで勝てる根拠を示すためにも、スパンモデルを活用するメリット・デメリットを紹介します。

スパンモデルを活用するメリット

スパンモデルを活用するメリット4点を以下にまとめました。

  • シンプルながらも相場を複合的に分析できる
  • 一目で相場の状況を判断しやすい
  • トレンドフォローに適しており、大きな利益を狙いやすい
  • 短期売買でも長期売買でも使える

スパンモデルは構成要素がシンプルとはいえ3種類の構成要素を総合的に判断して相場分析するため、複合的な分析によって取引根拠が明確化します。

また、トレンド発生の有無はゾーンを見れば一目で判断できるため、トレンドフォローがしやすく、大きな利益を狙いながら根拠のない逆張りを徹底排除できるのです。

また短期売買でも長期売買でも売買シグナルに従ってトレードするだけで成立するスパンモデルは、トレード初心者から上級者まで扱いやすいといえます。

スパンモデルを活用するデメリット

スパンモデルにはメリットがあるものの、勝てないと言われるからにはデメリットもあります。

スパンモデルが勝てないと言われる理由となる最大のデメリットは、「トレンド相場以外は利益を上げづらい」という点です。

スパンモデルはトレンド相場を見極めてトレードすることが基本です。

しかしレンジ相場では、それぞれのスパンが交差を繰り返したりゾーンの中でローソク足が上下したりして、見た目がごちゃごちゃして見づらくなってしまいます。

また、相場はトレンド相場よりもレンジ相場が多く、短期的にスパンモデルを使ってみただけでは魅力を知る前に別のインジケーターに切り替えてしまうケースもあるのです。

すべてのインジケーターに共通しますが、相場状況を見極める力を養うことが大事です。

スパンモデルの作り方や設定方法

スパンモデルの作り方や設定方法は要点を押さえれば誰でも簡単に行えます。

まずスパンモデルの作り方は、「外部インジケーターをダウンロードする」または「チャートツールに標準搭載しているスパンモデル」のいずれかです。

特にこだわりがない場合は、プログラムから作る必要はなく、以下のようにチャートツールに標準搭載されているものを活用すると良いでしょう。

また、スパンモデルは各スパンの数値を自由に設定できますが、基本的に以下のデフォルト設定がおすすめです。

  • 青色スパン:9
  • 赤色スパン:52
  • 遅行スパン:26

なぜなら上記の設定値は金融市場の営業日が関係しているからです。

  • 9日:金融市場の2週間の営業日
  • 26日:金融市場の一か月の営業日
  • 52日:金融市場の二か月の営業日

このように適当な数値ではなく金融市場の営業日を元に設定された数値のため、あえてオリジナルの数値に設定する必要はありません。

よりスパンモデルの設定値について理解したいという方は、一目均衡表の設定の源となっている「時間論」について理解しておくと良いでしょう。

時間論については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

一目均衡表の時間論とは?相場で役立つ波動論との組み合わせを解説!

スパンモデルを使ったトレード手法

スパンモデルを使ったトレード手法の例を紹介します。

ここではスキャルピングを仮定したトレード手法ですが、他のトレード手法でも共通するポイントは多いです。

具体的な手順は以下の通りです。

  1. マルチタイムフレーム分析
  2. 各スパンやゾーンからトレンドの方向性を確認
  3. トレンドの押し目や戻り目までエントリー待機
  4. 3~10pips前後で損益確定

まずは、長時間足から1分足まで順にトレンドの有無を確認していきます。

そして、スパンモデルの基本的な見方の通りに各スパンやゾーンから、トレンドに沿ったエントリーができる相場状況なのかをより詳しく把握します。

状況が整えばゾーンにタッチまたは反発したタイミングで押し目買いや戻り売りをします。

利益確定は3~10pips前後を目標にし、損切りはトレード根拠が崩れた場合は迅速に行うようにしましょう。

ここまで何度か言及しましたが、スパンモデルはレンジ相場の分析には使いづらいので、トレンド相場が発生するまではトレードを控えることが損失を減らす重要ポイントです。

スパンモデルと相性がいいスーパーボリンジャーとは

スパンモデルと相性がいいインジケーターとして、同じく柾木利彦氏(通称マーフィー)によって開発されたスーパーボリンジャーが知られています。

スパンモデルは一目均衡表を元に作成した一方、スーパーボリンジャーはボリンジャーバンドを元に完成しました。

スーパーボリンジャーには通常のボリンジャーバンドに遅行スパンを追加してチャートに表示します。

以下はスーパーボリンジャーの画像の画像です。

スーパーボリンジャーをスパンモデルに併用するメリットは、マルチタイムフレーム分析の強化です。

スーパーボリンジャーもスパンモデル同様にトレンド相場の確認が基本です。

たとえば、日足にスーパーボリンジャーを表示して相場の方向性を確認したうえで、60分足のスパンモデルでも相場の方向性を確認すればよりトレンドに追従しやすくなります。

スパンモデル単体でも相場分析はできますが、スパンモデルの使用に慣れてより高度なトレード判断をしたい場合はスーパーボリンジャーの使用を検討してみましょう。

スパンモデルを使ってFintokeiに挑戦する

Fintokeiとは、個人トレーダーがプロトレーダーに挑戦する場を提供しているプロップファームです。

Fintokeiでは、デモ環境を使って仮想資金を運用していき、損失率を抑えつつ、一定以上の利益率を達成することでプロトレーダーになることができます。

Fintokei公認のプロトレーダーになると、デモ口座における取引利益額をもとにデータ提供料として報酬がトレーダーへ支払われます。

初期の取引資金や価格が異なる豊富なプランがFintokeiでは用意されており、最低1万円台からプロトレーダーへの挑戦を始められるのです。

今回紹介したスパンモデルを活用した取引手法は、Fintokei公認のプロトレーダーになるために役立つでしょう。

また、動画の学習コンテンツが用意されていたり、ブログでトレードの基礎知識が学べたりとトレーダーへの教育に力を入れている点もFintokeiの強みです。

無料トライアルも実施していますので、ぜひFintokeiにご参加ください。

Fintokeiについては、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

プロップファームFintokeiとは?おすすめする理由や始め方を紹介!

まとめ

今回は柾木利彦氏(通称マーフィー)考案のインジケーター「スパンモデル」について詳しく解説してきました。

スパンモデルはトレンドの有無やトレンドの強弱といった方向性の確認に長けています。

基本のトレード手法は、各スパンやゾーンを確認したうえでトレンドに従う順張りです。

慣れるまでは複雑に感じるかもしれませんが、まずはゾーンを見て現在のローソク足が上下どちらに位置しているかだけでも相場に逆らったトレードは避けられます。

スパンモデルをチャートに表示してトレードに慣れ、より正確に相場分析をしたい場合はスーパーボリンジャーの組み合わせを検討してみましょう。

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