ハーモニックパターンは勝てないのか?5つの失敗例や勝率アップのコツを紹介

ハーモニックパターンとは、フィボナッチ比率をもとにしたチャートパターンとして知られており、実際の相場で検証した結果50〜60%の勝率が期待できることが分かりました。
しかし「ハーモニックパターンって本当に使えるの?」「勝てると聞いたけど、自分はうまくいかない」と感じている人も多いのではないでしょうか?
ハーモニックパターンは一定の勝率を期待できるものの、無理にパターンを当てはめたり、相場の流れを無視してエントリーしてしまったりといった理由で損失を出す人も少なくありません。
この記事では、ハーモニックパターンを正しく活用したい人に向けて、パターンごとの特徴や勝てない人の共通点、勝率を高めるための分析手順などを以下の項目で詳しく解説します。
- ハーモニックパターンで勝てないのは本当か?
- ハーモニックパターンで勝てない人の共通点
- 覚えておきたい4種類のハーモニックパターン
- ハーモニックパターンで勝率を上げるための分析方法
- ハーモニックパターンの発見に役立つのがインジケーター
- ハーモニックパターンは100%機能するわけではない
- Fintokeiでプロトレーダーを目指す
- まとめ
ハーモニックパターンで勝てないのは本当か?
結論から言うとハーモニックパターンで勝てないことはありません。
ハーモニックパターンは、巷では80%以上の勝率が報告されていますが、実際の勝率をチャートで検証して求めました。
代表的なパターンである「ガートレー」と「バタフライ」について、以下の条件で各10回ずつトレードした結果は以下の通りです。
- 銘柄:ドル円、ユーロ円、ポンド円
- 利益確定:C点
- 損切り:D点より10pips上または下
ハーモニックパターン | 利確回数 | 損切り回数 | 勝率 |
ガートレー | 6回 | 4回 | 60% |
バタフライ | 5回 | 5回 | 50% |
結果として勝率は50〜60%となり、フィボナッチ比率がほぼ一致していて、エントリータイミングであるD点で相場が反応している場合の勝率は高いことが分かりました。
一方パターンと相場の方向性が一致していない場合にエントリーすると、損切りになるケースが多かったことが勝率を下げた原因となりました。
ハーモニックパターンで勝てない人の共通点
検証結果よりハーモニックパターンの勝率が50〜60%あることが分かりましたが、なかなか勝てないという人は以下の原因に陥っている可能性があります。
- パターンに無理やりあてはめようとしている
- 相場の流れを無視している
- D点のプライスアクションを確認できていない
- 短期足のパターンに注目している
- エントリー後の損切り・利確プランが明確ではない
パターンに無理やりあてはめようとしている
「なんとなく形がそれっぽいから」という理由でエントリーしてしまうのは、負けパターンの典型例です。
ハーモニックパターンは発生頻度が高くないため、「見つけたい」という気持ちが先走り、無理やりチャートに当てはめてしまうケースが少なくありません。
例えば、以下のチャートのように適当にラインを引いてもハーモニックパターンができているように見えてしまいます。
しかし、ハーモニックパターンで重要となるフィボナッチ比率や相場全体の流れを無視してしまうと損切りになってしまうケースが多いのです。
相場の流れを無視している
ハーモニックパターンに頼りすぎて相場の流れを無視してしまうことも、よくある負けパターンの1つです。
例えば、下降トレンド中に買いのバタフライが完成したからといってエントリーをしてしまうと、強い下降の波に巻き込まれてしまう可能性が高いです。
上記ではX点までの相場の流れは下降トレンドに移行しているタイミングで、売りの勢いがまだ強くなりそうなことが予想できます。
このような中で安値を狙って買いエントリーをしても、トレードがうまくいく確率はそれほど高くありません。
D点のプライスアクションを確認できていない
ハーモニックパターンの形や相場の条件が良くても、エントリーポイントであるD点で根拠の強いプライスアクションが確認できなければ良い取引だとはいえません。
以下の画像では、ドル円の15分足で売りのパターン(バット)が出ています。
しかしD点付近では大陽線も出現していることから、強い根拠を持って売りエントリーをすることは難しいのです。
明確なプライスアクションが出ていない場合は、エントリーを見送るのも1つの手です。
短期足のパターンに注目している
1分足、5分足のような短期足ではノイズが多く、いくら形が綺麗なハーモニックパターンであってもだましで終わってしまう確率が高いです。
以下チャートでは短期的な上昇トレンドの中で買いのガートレーが出現していますが、D点でエントリーした場合にすぐに値段が逆行しています。
短期足だけを見ると早まったエントリーをしがちなので、4時間足や1時間足などの上位足でパターンを確認した上で、短期足でエントリータイミングを測るという手順が有効です。
エントリー後の損切り・利確プランが明確ではない
ハーモニックパターンはトレンド転換のような相場の反転を狙う場面が多く、失敗すれば一気に損失が広がる可能性もあります。
したがって、いくらパターンがきれいに完成していても、エントリー後の損切りや利確プランが明確でないと利益は積み上がりづらいのです。
ハーモニックパターンを使ってエントリーをする際は、D点の少し外側に損切りを置くのが基本です。
またA点やC点、フィボナッチ比率の1.272付近は利確の目安として意識されやすいので、リスクと利益の割合が1:2になるような場所に損切りを設定する意識も持っておくと良いでしょう。
覚えておきたい4種類のハーモニックパターン
ハーモニックパターンにはさまざまな種類がありますが、中でも相場でよく出現しやすく、実用性の高いパターンを4つ紹介します。
- ガートレー(Gartley)
- バット(Bat)
- バタフライ(Butterfly)
- クラブ(Crab)
その1:ガートレー(Gartley)
ガートレーは相場の転換局面で発生する代表的なハーモニックパターンです。
B点はXAの61.8%、D点は78.6%付近に形成され、D点でピンバーなどの反転サインが出たタイミングでエントリーをします。
上記チャートでは、フィボナッチ比率の0.786付近に形成されたD点で上ひげが長い陽線が出現した後、下落トレンドへの転換が始まっています。
その2:バット(Bat)
バットは相場が一時的に押し目や戻りが入った後、再び元のトレンドに乗って動き出すタイミングを狙う順張り型のパターンであり、出現頻度も多いです。
バットではB点がXAの38.2〜50%と浅めで反発するのが特徴です。
エントリーポイントとなるD点はXAの88.6%付近に形成され、上記チャートでは下ヒゲの長い陰線が形成されたことから上昇トレンド再開への強いシグナルとなっています、
バットパターンはトレンドに沿った自然なエントリーがしやすく、押し目買いや戻り売りの戦略で活用すれば、より精度の高いトレードができます。
その3:バタフライ(Butterfly)
バタフライは、相場が勢いよく進みすぎたあとの反転タイミングを狙う逆張り型のパターンであり、売られすぎや買われすぎのサインとして機能します。
D点の目安としては、CDの長さがXAの1.27〜1.618倍となった地点です。
上記チャートでは、フィボナッチ比率の1.272付近に形成されたD点で反転を示唆するピンバーが出現した後、下落トレンドへの転換が始まっています。
その4:クラブ(Crab)
クラブは、バタフライと同様に売られすぎや買われすぎのサインとなるハーモニックパターンですが、さらにD点が深い位置で形成されることが特徴です。
上記チャートでは、XAの1.618倍の深い位置にD点が形成され、付近で陽線のピンバーが出現したことをきっかけに大きな上昇を遂げています。
極端な価格帯に位置するD点は反発が起こりやすく、小さなリスクで大きな利益を狙える点がクラブの魅力です。
ハーモニックパターンで勝率を上げるための分析方法
ハーモニックパターンを活用してトレードの勝率を高めるには、以下のような流れでしっかりと相場を分析することが重要です。
- トレンドが確認できるまで待つ
- フィボナッチ比率が合っているか確認する
- D点付近のプライスアクションを確認する
- 損切りと利益確定を決める
トレンドの発生状況を確認する
ハーモニックパターンで順張りと逆張りのどちらを狙う場合でも、現在のトレンド状況をまずは確認します。
ハーモニックパターンは相場での買われすぎ・売られすぎ局面やトレンドの押し目・戻りで機能するので、価格がランダムになるレンジ相場で使うことを避けることが重要です。
トレンドを見極める際には、ダウ理論が役立ちます。高値と安値が切り下がっていれば下落トレンド、切り上げていれば上昇トレンドとシンプルに判断ができます。
ダウ理論については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
≫ダウ理論だけで勝てる?勝てない場合の対処法やFintokeiで使えるトレード手法を解説!
フィボナッチ比率が合っているか確認する
ハーモニックパターンらしき形が見えたら、直近の高値と安値を基準にフィボナッチラインを引き、各ポイントが理想の比率に収まっているかを確認します。
例えばガートレーであれば、B点はXAの61.8%、D点は78.6%付近に達していることが判断基準です。
特にエントリーポイントとなるD点の比率が大きくずれていると、パターンとしての精度が下がるので注意して確認しましょう。
ただし、実際の相場ではヒゲや微細な値動きによって誤差が出ることも多く、必ずしも比率が完璧に一致するとは限りません。
大切なのは、あくまで基準となるフィボナッチ比率の付近で価格が反応しているかどうかを判断することです。
D点付近のプライスアクションを確認する
エントリーポイントであるD点まで問題なく形成がされたら、さらに取引根拠を強めるためにD点付近におけるローソク足の値動きも確認していきます。
特に安値での買いエントリーや高値での売りエントリーを狙うハーモニックパターンは、以下のようなプライスアクションと相性がいいです。
- 長い下ヒゲを持つ陽線
- 長い上ヒゲを持つ陰線
- 包み足
- 首吊り線
- カラカサ
以下のポンド/円の4時間足チャートでは、D点付近に長い下ヒゲを持つ陽線が出現しており、買いの強まりを表しています。
さらに30分足に切り替えてみると、明確な大陽線が出現しており、短期的に強い買いが入ったことがわかります。
長期足では見えにくいプライスアクションも、短期足に切り替えることで明確に確認できるケースもあるのでしっかりと複数の時間足を確認しましょう。
エントリー前には、長期足で全体の流れを把握しつつ、短期足でD点付近の反応を精査するようにしましょう。
損切りと利益確定を決める
エントリーポイントを決めたら、損切りと利益確定のラインを事前に設定しておくことで、感情に左右されず、予想外の値動きにも冷静に対応できます。
ハーモニックパターンでは、損切りはD点の少し外側(5〜15pips程度)に設定するのが一般的です。
また利確ポイントについては、確実に利益を狙うならC点、大きな利益を狙うならA点を目指すと良いでしょう。
以下のチャートでは、D点から価格が反発しC点まで上昇した後に再び下落しており、C点を利確ラインに設定しておけば、リスクを抑えつつ確実に利益が残せたことが分かります。
A点はC点を超えて強い反発が続いた場合に狙える目標のため、C点で半分利確し、残りをA点まで追う分割戦略をとることも一つの手です。
ハーモニックパターンの発見に役立つのがインジケーター
ハーモニックパターンがなかなか見つけられないといった状況で役に立つのが、インジケーターです。
ハーモニックパターンを自動で識別してくれるインジケーターを使うことで、パターンを探す手間を省くことができます。
Fintokeiのトレーディングプラットフォームで使うことができるインジケーターの一つが、「PZ_HarmonicTrading」です。
PZ_HarmonicTradingでは、以下のようにガートレーやバタフライ、バットなどの主要なパターンを自動で検出し、チャート上に名前と構造も描画してくれます。
フィボナッチ比率も自動チェックしてくれる上に、パターンの信頼度を色分け表示してくれる機能もあるので初心者でも直感的に使えるでしょう。
なお、PZ_HarmonicTradingはFintokeiで提供しているインジケーターではないので、別途外部からダウンロードする必要があります。
ハーモニックパターンは100%機能するわけではない

ハーモニックパターンはどれだけ完璧に形が形成されても、機能するわけではありません。
特にクラブやバタフライのような価格が伸びた位置の逆張りを狙うパターンでは、想定外に価格が伸びることも少なくありません。
ハーモニックパターンを活かすには正確にパターンを見分けることに加えて、損切りの設定といった適切なリスク管理も欠かせません。
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