トレード依存症になっていませんか?トレード依存症の原因や治療方法を解説
多くの人がトレーダーとして生計を立てることを望んで日々トレードに勤しんでいますが、中にはトレードとの関わり方を誤ってしまい、「トレード依存症」に陥ってしまう人もいます。
トレード依存症に陥ってしまうと、トレーダーとして稼いでいくことが難しくなってしまう上に、多額の資金をトレードに溶かしてしまうことになりかねません。
そこでここでは、トレード依存症に関する以下の5つについて解説していきます。
- トレード依存症とは
- トレード依存症の原因となる行動
- トレード依存症のチェック
- トレード依存症の治療方法
- トレード依存症にならないようにメンタル管理を心がける
トレード依存症とは
トレード依存症とは、トレードを行いたいという欲望に対して、自制が効かなくなってしまうことを言います。
トレードはギャンブル性の強い行動であり、それゆえギャンブル依存症のような症状が発症しやすいです。
ギャンブル等依存症とは、ギャンブル等にのめり込んでコントロールができなくなる精神疾患の一つです。これにより、日常生活や社会生活に支障が生じることがあります。
消費者庁
人間の脳内には「脳内報酬系」という多幸感や気持ちよさを司る部位があり、トレード依存症は「脳内報酬系」の機能異常が原因とされています。
トレードにのめり込み、依存状態になってしまうと、「脳内報酬系」が快楽に対して鈍感になってしまい、次第に身の回りの物すべてに魅力を感じなくなってしまいます。
一方でトレード関連のことに対しては強い欲求を感じてしまい、トレードを行いますが、「脳内報酬系」が機能異常に陥っているため、欲求不満な状態が続いてしまいます。
トレード依存症に陥った人は、「トレードで成功する」という目標を忘れ、目の前の欲求不満を解決するために、より大きなリスクを取ったトレードを行ってしまうのです。
トレード依存症の原因となる行動
トレード依存症の原因となる行動には以下の3つのようなものが挙げられます。
- トレードごとのリスク額が大きすぎる
- トレード頻度が多すぎる
- トレード画面をずっと見ている
トレードごとのリスク額が大きすぎる
1回あたりのリスク額が大きすぎるトレードを繰り返すことは、トレード依存症の原因になります。
1トレードごとに許容する損失率のことを「資金率」といいますが、トレードでは資金率を最大でも2%以内におさめるのが賢明でしょう。
トレードでは大きなリスクを取るほど期待できる利益は大きくなりますが、その分トレードのギャンブル性が増してしまいます。
トレードの資金率が高いと、損失を経験したときのメンタルダメージが大きく、結果的に破滅的なトレード行動を行うことにつながってしまいます。
≫トレードにおけるメンタルコントロールの重要性やメンタル管理法を解説
トレード頻度が多すぎる
トレード頻度が多いトレードスタイルを採用していると、トレード依存症に陥る危険性が高まります。
特に1日の内に数回から数十回のエントリーを行う「スキャルピング」はとても難易度の高いトレードスタイルであるのにもかかわらず、多くの初心者トレーダーが採用したがります。
その理由として、スキャルピングでは断続的にポジションを持ち続けるので、トレードチャンスを見逃さずに済み、安心感を感じやすいからです。
しかしこの考え方が原因で、トレードを行わない時間には、焦りや不安を感じるようになってしまい、トレード依存所に陥ってしまう可能性があります。
トレードにおいては、なるべく「長期の時間足」で「優位性の高いポイントにトレードを絞る」方が良い成績を収めやすいことを覚えておきましょう。
トレード画面をずっと見ている
相場の行方が気になり、トレード以外の時間にも無意識にトレード画面を見てしまっている人は、トレード依存症になりやすい傾向にあるでしょう。
トレードチャンスを見逃さないために、相場をチェックすることは大切なことです。
しかし、トレードチャンスが訪れそうでない局面でも、チャートを見つめてしまっているということは、「トレードを行いたくて仕方がない」という気持ちが前面に現れてしまっているという証拠です。
ベテラントレーダーは取引ツールのアラート機能や、指値・逆指値注文を活用し、なるべくチャート画面に張り付かなくて良いようなアプローチをとっているものなのです。
トレード依存症のチェック
トレードを行っていて、以下のような行動をとってしまうことはありませんか。
- 常にトレードのことを考えてしまう
- トレードで負けた分を取り返そうと思っている
- トレード資金を集めるために借金をしてしまう
- トレードをしなければ、落ち着かなかったり、イライラしてしまう
- トレードが原因で、家族や職場で問題が生じてしまう
- トレードをしていると心が落ち着くような気がする
- トレードでリスクにさらす額が日に日に増えている
この中で一つでも当てはまる項目がある場合、トレード依存症に陥っている可能性が高いです。
重度のトレード依存症に一度でも陥ってしまうと、自分の力だけで克服することはかなり難しくなります。
トレード依存症の治療方法
では、トレード依存症に陥ってしまった場合はどのように治療すれば良いのでしょうか。
ここでは、トレード依存症の治療方法を2つ紹介していきます。
- トレードから離れる
- 専門家の下で治療する
トレードから離れる
トレード依存症になってしまった場合は、今すぐにトレードから離れるようにしましょう。
まず現在保有中のポジションがある場合は、すべてのポジションを決済するようにしてください。
トレード依存症になった状態ではトレードで利益を出すことはおろか、取り返しのない損失を被ってしまう可能性さえあります。
利益が出ていないのに決済するのはもったいないと感じるかもしれませんが、トレード依存症の状態で保有したポジションには何の優位性もないので、保有しているだけ無駄です。
ポジションを保有していない状態になったら、チャート画面を閉じて、取引ツールは一時的にデスクトップやスマホから削除してしまいましょう。
取引ツールはいつでも無料でダウンロードできるものなので、削除してしまっても問題ありません。
また、トレードに関連するニュースサイトやブログ、本などは目につかないようにして、トレードをしたくなるような情報を遮断しましょう。
このように意識的にトレードから離れる時間を作ることによって、心をリフレッシュすることができます。
≫トレーダーのためのタイムマネジメント戦略、集中力と生産性を高める方法
専門家の下で治療する
トレード依存症が重度になってしまうと、自分の力だけでは回復が難しいです。
そこで、トレード依存症専門の病院や自助グループの下で、治療を行ってもらうことを検討してみてください。
以上は消費者庁にて推奨されているギャンブル依存症の自助グループであり、「GAインフォメーションセンター」は依存症の当事者に向けての窓口となっており、「一般社団法人ギャマノン日本サービスオフィスは依存症患者の友人や家族にむけての窓口となっています。
トレード依存症にならないようにメンタル管理を心がける
トレード依存症にならないためには、トレードにおけるメンタル管理を日ごろから心掛けておく必要があります。
トレードのメンタル管理には以下のような方法が有効です。
- 一貫性のあるトレードを行う
- トレード日記にメンタル状態を書き出す
- トレードのメンターを探す
中でも一貫性のあるトレードを行うことは、メンタル管理上良いだけではなく、資金管理の側面から見ても、非常に有効的なアプローチといえます。
自分があらかじめ決めたトレードルール通りにトレードすることによって、トレードごとに自分の主観を介入させずに済みます。
詳しくは以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
≫トレードで成功する秘訣はトレードルールを守ること|それでも守れない原因は?
まとめ
この記事では、トレード依存症について解説してきました。
本記事の要点は以下の3つです。
- トレード依存症は脳の「脳内報酬系」の機能異常が原因とされており、ただのメンタル的な問題ではない
- トレード依存症の原因となる行動は「資金率が高い」「トレード頻度が多い」「チャートを見ている時間が長い」
- トレード依存症になってしまった場合は、一度トレードから離れ、場合によっては専門家に相談する