移動平均線とは?わかりやすく種類や活用法を解説

「移動平均線とは?」

「移動平均線ってどうやって使うの?」

トレードを行う上で移動平均線の知識は必須であると言ってよいでしょう。
ここでは移動平均線に関する以下の4つについて解説していきます。

  • 移動平均線とは
  • 移動平均線の種類
  • 移動平均線の活用法
  • 移動平均線を使う際の注意点

この記事を読めば、移動平均線に関して本質的に理解をすることができます。

移動平均線とは

移動平均線(Moving Average)とは、ジョセフ・グランビルによって発明された、一定期間の終値の平均を1本の線で結んだ指標のことです。
テクニカル分析の中では、最も有名な手法の一つと言えるでしょう。

ローソク足だけを見ると不規則に上下しているチャートを、一本線でつなぐことで、値動きのブレを平滑化している指標です。

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移動平均線の設定期間

移動平均線は自分の好みに合わせて期間を設定することができます。

通常、移動平均線の前には期間をあらわす数字が追記されます。
たとえば、14SMA(単純移動平均線)の場合は、14本のローソク足の終値の平均を一本線で表しています。

ただし、どの時間足に移動平均線を表示させるかによって、平均をとっている期間は異なるので注意しましょう。
つまり、1日に1本のローソク足が更新される「日足」に14SMAを表示させた場合は、14日間の終値の単純移動平均線が表示されます。
一方で、1時間に1本のローソク足が更新される「1時間足」に14SMAを表示させた場合は、14時間の終値の単純移動平均線が表示されます。

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よく使用される移動平均線の期間

移動平均線の長さ頻繁に使用される移動平均線の期間
短期の移動平均線5、14、20、21、25
中期の移動平均線50、75
長期の移動平均線100、200

移動平均線はそれぞれが自由に期間を設定できますが、頻繁に使用される期間が存在するので、覚えておきましょう。
参考までに本記事の筆者が使用している移動平均線の期間は、

  • 短期:20
  • 中期:50
  • 長期:100

以上の通りです。

移動平均線の種類は3つ

移動平均線には3種類あります。

  • 単純移動平均線(SMA)
  • 加重移動平均線(WMA)
  • 指数平滑移動平均線(EMA)

単純移動平均線(SMA)

単純移動平均線(Simple Moving Average)は最も一般的な移動平均線の種類で、一定期間の終値の平均値を結んだものを表示しています。

例えば日足に表示した14SMA(14日単純移動平均線)の場合は、以下のような計算式で求めることができます。
14SMA=(本日の終値+1日前の終値+2日前の終値….+13日前の終値)/14
つまり、本日を含めた14日分の終値の平均が表示されることになります。

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加重移動平均線(WMA)

単純移動平均線は、過去の終値を均等に扱うので、直近の値動きがされにくいという欠点があります。

それを解決したのが、加重移動平均線です。

加重移動平均線では、直近の終値を濃く反映させるために、直近の終値ほど「重めに」計算していきます。

例えば日足に表示した5WMA(5日加重移動平均線)の場合は、以下のような計算式で求めることができます。
5WMA=(現在の終値×5+1本前の終値×4+2本前の終値×3+3本前の終値×2+4本前の終値)/15
以上のように、5WMAを求める際は、直近の終値を「5回分」計算し、「1本前、2本前」と遡るにつれて「×4、×3」と計算していきます。
平均を求める際は、終値の数で割らなければならないので、最後は「5+4+3+2+1=15」で割ることで加重平均を算出しています

まとめると、
「直近の終値をより多く計算式に含めることで、移動平均線を直近の値動きを反映させよう」
というのが、加重移動平均線の狙いです。

指数平滑移動平均線(EMA)

指数平滑平均線(Exponential Moving Average)とは、単純移動平均線と加重移動平均線の両方が抱える問題点を解決する移動平均線です。

単純移動平均線は、直近の値動きを反映できないという問題点がありましたが、その解決策として、加重移動平均線が生み出されました。
しかしどちらの移動平均線も、「指定期間より前の終値を計算に含んでいない」という問題点があります。

例えば、5日単純移動平均線や5日加重移動平均線を計算する際は、計算に使う「最古の終値」は4日前の終値です。
したがって、5日前以上の終値に関しては計算に含まれていません。

そこで、指数平滑移動平均線は移動平均線の計算の際に、1つ前のEMAの値を使用します。
終値の代わりに1つ前のEMAの値を使うことで、移動平均線の期間外の終値についても計算に含めることができます。

さらに、最新の終値に関しては2回分計算します。
例えば日足に表示した5EMA(5日指数平滑移動平均線)の場合は、以下のような計算式で求めることができます
5EMA=(本日の終値×2+EMA×4)/6
本日の終値を2回分計算しているので、最後は6で割っています。

まとめると、
「過去全ての終値を計算に含めつつ、直近の終値に比重を置こう」
というのが、EMAの狙いです。

【テクニカル分析】指数平滑移動平均線(EMA)の設定や利用方法をわかりやすく解説

3種の移動平均線を視覚的に比較

移動平均線の難しい話が続きましたが、最後は視覚的に3種の移動平均線の違いを比較していきます。
以上はいずれも200日の移動平均線です。

  • オレンジ:200SMA
  • 青:200EMA
  • 緑:200WMA

チャートの左側では、いずれの移動平均線も下向きでした。しかし、価格が上昇する動きを見せると、WMAとEMAがいち早く上向きに転換しています。
一方でSMAはWMAとEMAに遅れる形で、上向きに転じています。
以上のように、SMAに比べてWMAやEMAはより敏感に値動きに反応しています。

移動平均線の活用法

ここまで移動平均線の基本的な事項について解説してきました。
次に移動平均線の具体的な活用法について解説していきます。

  • ローソク足との位置関係から売買価格の水準を知る
  • 移動平均線の傾きからトレンドを判断する
  • 価格の支持線・抵抗線として使う

ローソク足との位置関係から売買価格の水準を知る

移動平均線とローソク足の位置関係を見ることで、現在の売買価格の水準を知ることができます。

上図は、チャート上の日足に200SMAを表示させています。
青枠で囲った部分を見ると、200SMAから乖離した場所にローソク足が形成されているのが分かります。
これは、過去200日間の終値の平均よりも、高い価格で売買されていたことが視覚的に見て取れます。

つまり、青枠の部分で買いのポジションを持ったトレーダーは、過去200日間の売買価格に比べて、割高でポジションを持たされたということです。

このようにして、現在の価格が過去の価格に比べて、どれだけ「割高」「割安」なのかを視覚的に分かりやすくするために、移動平均線が活用されます。

価格の支持線・抵抗線として使う

上記に付随して、移動平均線は価格の支持線・抵抗線として活用されることが多いです。
前述のように、ローソク足と移動平均線の位置関係から、現在の価格が「割高」なのか「割安」なのかを知ることができます。

市場参加者の多くは、移動平均線から乖離した「割高ゾーン」ではなく、移動平均線になるべく近い価格帯で売買を行いたいと考えます。

例えば上図では、過去200日間に比べて割高である①よりも、過去200日間と同等もしくは割安である②で買いポジションを持ちたいと考えます。
結果、②では買い注文が殺到し、移動平均線が支持線として機能しました。

このように、移動平均線のあたりでは売買が盛んになりやすく、移動平均線が支持線・抵抗線として機能しやすいことを覚えておきましょう。

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移動平均線の傾きからトレンドを判断する

移動平均線の傾きによって、トレンドを判断することも可能です。

上図には200日単純移動平均線が表示されています。

移動平均線が上向きの場合は、終値の平均が上がって来ていることを表しているので、上昇トレンドにあると判断できます。
一方で移動平均線が下向きの場合は、終値の平均が下がってきていることを表しているので、下降トレンドにあると判断できます。

ただし、移動平均線によるトレンド判断は、視覚に頼る部分が大きいので、ダウ理論などと併用してトレンド判断を行うトレーダーも多いです。

【テクニカル分析】移動平均線を1本だけ使ったシンプルなトレード手法を解説

ゴールデンクロス&デッドクロス

ゴールデンクロスとは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を、下から上に突き抜ける現象のことをいいます。
短期的な終値の平均が、長期的な終値の平均を上回ることを示唆していることから、買いシグナルとして利用されることが多いです。

【テクニカル分析】移動平均線のゴールデンクロスを徹底解説!

一方デッドクロスとは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を、上から下に突き抜ける現象のことをいいます。
短期的な終値の平均が、長期的な終値の平均を下回ることを示唆していることから、売りシグナルとして利用されることが多いです。

【テクニカル分析】移動平均線のデッドクロスを徹底解説!

移動平均線を使う際の注意点

最後に移動平均線を使う上での注意点について解説していきます。

  • 注意点①:直近の値動きを反映するまでにタイムラグがある
  • 注意点②:設定期間に正解が存在しない
  • 注意点③:トレーダーの主観が入りやすい

注意点①:直近の値動きを反映するまでにタイムラグがある

1つ目の注意点は、移動平均線は直近の値動きを反映するまでに、タイムラグが発生してしまうことです。
移動平均線は過去の終値の平均に基づいて計算されるので、必ず数手遅れで価格変動を反映します。

したがって上図のように、既に大きな下降の値動きが発生しているのにもかかわらず、移動平均線はなかなか下向きにならないといった現象が起きます。

EMAやWMAはSMAよりも速く反応しますが、相場の後追いの指標であることには変わりありません。
移動平均線は性質上、相場の行方を予想する物ではないということを覚えておきましょう。

注意点②:設定期間に正解が存在しない

2つ目の注意点は、移動平均線の設定期間に正解が存在しないことです。
自分のトレード手法を検証によって作り出す過程で、様々な期間の移動平均線を試すことになると思います。

しかし上図のように、一時期200SMAが支持線・抵抗線として機能していても、別の時期では100SMAが支持線・抵抗線として機能しています。

移動平均線では、「どの時期でも万能に使うことができる期間」は存在しません。

未熟なトレーダーほど、必ず勝てる移動平均線の期間を探そうとしてしまい、ドツボにはまってしまうものです。

大切なのは、どの期間の移動平均線を使うかではなく、いかに自分で定めたトレードルールを守り続けられるかです。

注意点③:トレーダーの主観が入りやすい

3つ目の注意点は、移動平均線によるテクニカル分析には、トレーダーの主観が介入しやすい点です。

  • 移動平均線とローソク足がどれだけ離れているか
  • 移動平均線の傾き
  • ゴールデンクロス&デッドクロスの判断

以上の要素は、どうしてもトレーダーの視覚に頼る部分があります。

例えば、以上のチャートには200SMAを表示していますが、移動平均線がどちらに傾いているかを判断するのは難しいでしょう。
厳密なタイミングでポジションを持ちたい人にとっては、移動平均線のみでエントリータイミングをはかるのは難しいといえます。

まとめ

ここまで移動平均線について解説してきました。

本記事の要点は以下の4つです。

  • 移動平均線にはSMA、EMA、WMAがある
  • 移動平均線を見れば「買い時・売り時」の判断やトレンドの判断ができる
  • 移動平均線は支持線・抵抗線にもなる
  • 移動平均線の期間設定に正解はない

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